M033 Ten little nigger boys
10人の少年、外でお食事
一人がノドに詰まらせて、9人となった
9人の少年、皆で夜更かし
一人が結局寝過ごして、8人となった
8人の少年、デボンに旅行
一人が残ると言い出して、7人となった
7人の少年、元気に薪割り
一人が自分を真っ二つ、6人となった
6人の少年、蜂の巣にイタズラ
一人がマルハナバチに刺されてしまい、5人となった
5人の少年、法律に興味を示す
一人が大法院に入ることとなり、4人となった
4人の少年、海までお出かけ
一人が燻製ニシンに飲み込まれ、3人となった
3人の少年、動物園に遠足
一人がクマに抱きつかれ、2人となった
2人の少年、ひなたぼっこ
一人が、チリチリに焼き焦げて、1人になった
1人の少年、寂しく一人で暮らしていたが
やがて、結婚して家庭を持った
ここにはもう、誰もいない
Ten little nigger boys went out to dine;
One choked his little self, and there were nine.
Nine little nigger boys sat up very late;
One overslept himself, and there were eight.
Eight little nigger boys travelling in Devon;
One said he'd stay there, and then there were seven.
Seven little nigger boys chopping up sticks;
One chopped himself in half, and then there were six.
Six little nigger boys playing with a hive;
A bumble-bee stung one, and then there were five.
Five little nigger boys going in for law;
One got in chancery, and then there were four.
Four little nigger boys going out to sea;
A red herring swallowed one, and then there were three.
Three little nigger boys walking in the Zoo;
A big bear hugged one, and then there were two.
Two little nigger boys sitting in the sun;
One got frizzled up, and then there was one.
One little nigger boy living in all alone;
He got married, and then there were none.
The Oxford Dictionary of Nursery Rhymes
アガサクリスティの名作「そして誰もいなくなった」で有名なライムです。
一人一人と少なくなる事、そしてその理由がミステリファンの心をくすぐります。
1869年ごろ、フランク・グリーンというイギリス人が作ったというのが定説になっていますが、1868年にアメリカ人の、セプティマス・ウィナーという人が同様のライムを発表しており、それが元歌という説もあります。
私はあえて訳しませんでしたが、niggerは黒人に対する侮蔑的表現で、のちにInjunsと改められました。(もっとも、ウィナー作の元歌はTen little Injuns )しかしながら、このInjuns(インディアン)も差別的表現のため、最近では本に載ることも少なくなりました。
ちなみに、前出の「そして誰もいなくなった」は、現在「兵隊」 (Soldier)に置き換えらており、2015年イギリスで作成されたドラマや2017年に日本に置き換えられて作られたドラマいずれもこの「兵隊」版が採用されています。
訳として難しいのが第6スタンザ。
going in for lawは「法律の勉強」とも「裁判所に行く」とも逆に「訴訟される」とも取れますし、got in chanceryも「大法院に入る(つまり仕事につく)」とも「トラブルに見舞われる」「どうしようもなくなる」「つかまる」いずれの意味にも取れます。
つまり、勉強して成功した。あるいは法律上訴えられた。。。真逆の意味が成り立つんです。
不幸続きの10人なので、何人かは幸せなってもらいたいと願い、成功バージョンにしました。
ラストも、最後の一人が首つっていなくなるというパターンもあるようですが、結婚バージョンがほとんどであるところをみると、さすがにみんなハッピーエンドにしたいんだと思います。