M035 There Was a Crooked Man
いびつな男がおりました
いびつな小道をあるいたら
いびつな木戸のその裏で
いびつな小銭を拾ったと
いびつなネズミをつかまえた
いびつな猫を買って帰り
いびつな小さい彼の家
いびつに仲良く暮らしたと
There was a crooked man,
And he walked a crooked mile,
He found a crooked sixpence
Against a crooked stile;
He bought a crooked cat,
Which caught a crooked mouse,
And they all lived together
In a little crooked house
The Mother Goose Treasury
マザー・グースの定番の一つですね。
意味が難解で、不気味さを醸し出しているのが人気の理由でしょう。
そういう意味では実に「マザーグースらしい」作品。
アガサ・クリスティの小説「ねじれた家」のタイトルはこのライムに由来。
直接、ストーリーとは関係ありませんが、作品の導入部分で使われています。
また、これも直接関係はありませんが、シャーロックホームズにも”The Adventure of Crooked Man” という短編があります。
crookedを取ってしまえば、なんの不気味さも、面白みもない。
このcrookedが全ての名詞に着くことで、偏執的な禍々しさ、意味不明が不気味さが出てくるんですね。
だから、このcrookedをどう訳すか。
本来の意味は「曲がった、屈折した」なんですが、個人的にマザーグースの
日本訳を読むときの一番の鑑賞ポイントだったりしています。
竹久夢二さんは「つむじまがり」
北原白秋さんは「背骨まがり」
谷川俊太郎さんは「ひねくれ」
和田誠さんは「まがまが」
といった感じですね。
私は、先生方とかぶらないように、消去法的に考えて結果「いびつ」をチョイスしましたが、あとから考えたら既に寺山修司さんが使ってた。。